受発注システムのひとつであるEDIは、これまでISDN回線を利用して運用されていました。しかし2024年にNTT東日本・西日本がISDN回線を廃止することから、旧式のEDIは再構築をしないとならなくなったのです。
ISDN回線を利用したEDIは「レガシーEDI」とも呼ばれ、通信速度が遅いのにコストがかかることなどから、なるべく早く次世代EDIへ再構築することが望ましいとされています。
そこで注目されているのが『Web-EDI』です。自治体主導でWeb-EDIを導入する取り組みも始まっています。
この記事では、Web-EDIのメリットと自治体主導の事例SFTCについて解説いたします。
Web-EDIのメリットとは?
Web-EDIは、EDI(Electronic Data Interchange)をインターネット回線を利用し実現する方法です。
Web-EDIの導入はレガシーEDIにくらべ、多くのメリットがあります。
コスパが良い
Web-EDIはインターネット回線を使いクラウドにアクセスし利用します。システムはクラウド上にあり、データもクラウドに保管される仕組みです。従来のEDIのように専用システムを構築する必要がなく、導入時にかかる初期コストや保守費用を大幅に抑えることができます。
働き方改革の推進
Web-EDIは、インターネットにつながる環境があれば、どこからでもアクセスできます。PCやスマホ、タブレットがあれば、リモートワークでも対応できます。働き方改革が遅れているとされる製造業でも、リモートワークを推進することができるようになるでしょう。
ペーパーレス化
受発注を紙ベースで行っている企業では、注文書を作成しFAXで送り…と、業務フローに無駄が多くなっていますが、Web-EDIを導入すれば、全てペーパーレス化することができます。書類紛失や記入ミスなどのヒューマンエラーを防ぎ、ペーパーレス化により印刷代や郵送代の削減が期待できるでしょう。
自治体主導の事例 SFTCとは?
SFTC(Smart Factory Tsubame Cloud)とは、新潟県燕市が主導するWeb-EDIシステムです。
ものづくりのまちとして知られる燕市では、バックオフィスのDX推進が遅れていることが課題となっていました。そこで、「燕市DX推進ラボ」が中心となり、取引企業間の受発注情報等をクラウド上で共有するWeb-EDIシステム『SFTC』を構築しました。
バックオフィスのDX推進で業務効率を上げ、ペーパーレス・テレワークを促進し、燕市の主要産業である製造業の生産性向上を目指す取り組みです。
SFTC導入による成果は以下のとおりです。
企業間取引のDX
SFTCは、受発注や製造進捗、入出荷情報をクラウド上でデータ管理し、企業間でのリアルタイムな情報共有を実現するクラウドサービスです。行政が支援することにより、導入企業が増えることで、企業間取引のDXが実現しました。企業間取引業務のDX推進が広まれば、さらにバックオフィス業務の作業時間を大幅に削減できるでしょう。
受発注業務の効率化
SFTCを活用することで、帳票作成・管理、FAX送受信や電話問い合わせなどのアナログ業務が自動化され、業務効率が向上します。入力ミスなどのヒューマンエラーも減少し、各社が生産効率向上や既存業務の改善などにリソースをさけるようになりました。
SFTC実証段階で参加した企業データによると、対象業務時間の平均短縮割合は約70%になったそうです。
ペーパーレス化の推進
SFTCはクラウド上にデータを蓄積するため、発注先や受注先、どちらの企業もクラウド上でデータを確認できます。そのためFAXによる注文書の送信や請求書の郵送が不必要になり、ペーパーレス化の推進が進みました。環境への負荷を軽減できるだけでなく、大幅な経費削減にもつながるでしょう。
情報の一元管理
過去の取引情報をウェブ上ですぐに検索できるため、業務の見える化が進みます。リアルタイムの状況がわかるため、スピーディーな経営判断を下せるのも大きな利点です。
SFTCの今後の課題
SFTCは2022年に本格運用が始まったばかりです。今後の課題は「導入企業を増やすこと」とされています。導入企業が増えれば、運用コストを下げることもでき、地域全体の産業がさらに振興するということや、地域産業の将来を考え、DX推進の重要性を共通認識として持つことなどを進めていくそうです。
まとめ
SFTCは、自治体主導のプロジェクトとして、地域の産業をサポートし、DXのメリットを広く企業に提供する優れた例です。今後も導入企業数の増加や機能の拡充により、生産性向上や持続可能な発展に寄与することが期待されます。
SFTCだけでなく、Web-EDIは導入企業が増えれば増えるほど、便利になるITインフラです。DX推進の一歩として導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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