【事例紹介】IT人材不足を解決する|アジャイル開発を加速するローコード開発の力

目次

日本のSIerが直面するIT人材不足

現在、日本のシステムインテグレーター(SIer)業界は、急速なデジタル化変化する市場の要求に対応するために、多くの課題に直面しています。

特に、IT人材不足が深刻な問題となっており、開発リソースの確保が難しい中で、顧客の要求に応じたシステム開発を進めることが非常に困難になっています。

2019年の経済産業省の発表によると、日本では2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

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出典:「IT 人材需給に関する調査」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

このような状況の中で、限られたIT人材をいかに効率的に活用し開発スピードを維持・向上するかが、今後のSIerにとって最も重要なポイントとなります。

しかし、従来のウォーターフォール型開発ではこれらの課題を乗り越えるのは難しいといわれています。

ウォーターフォール型開発の課題

従来のシステム開発において、ウォーターフォール型開発モデルは主流の開発手法として広く採用されてきました。

ウォーターフォール型開発では、要件定義から設計、開発、テスト、リリースまでが順序立てて行われるため、途中での変更が難しく、時間とコストがかかりやすいという特性があります。

ウォーターフォール型開発の課題について詳しく見てみましょう。

ウォーターフォール型開発の課題

長期化する開発期間

ウォーターフォール型開発は基本的にプロジェクトが長期間にわたることが多く、限られたリソースで開発に着手することが難しいです。また仕様変更や不具合などの発生により特定の工程が遅延すると、プロジェクト全体のスケジュールが大幅に遅延する可能性があります。そうした状況でも人材が不足している中、途中でリソースを増やすのは非常に困難といえるでしょう。その結果、プロジェクトが長期化に伴い、人員の負担が増加し、開発者のパフォーマンスも低下します。

仕様変更への対応力の低さ

変化の激しいビジネス環境において、顧客からの要求は常に変化し、システムの開発途中で仕様変更が発生することは珍しくありません。しかし、ウォーターフォール型開発では、仕様変更を行う場合、前の工程に戻って修正を行う必要があり、大幅な手戻りにつながります。特に後半の工程になるにつれて変更対応が難しく、変化に柔軟に対応できません。

これらの課題は、IT人材不足と相まって、プロジェクトの成功を危うくし、SIerにとって大きなリスクとなります。

アジャイル開発のメリットと重要性

アジャイル開発は、ウォーターフォール型開発の課題を解決するために生まれた開発手法です。

アジャイル開発は、従来のウォーターフォール型開発のように、事前に全ての工程を計画し、一括で開発を行うのではなく、短い期間(スプリントと呼ばれる)で機能を開発する手法で、短いサイクルを繰り返しながら、顧客のフィードバックを基にシステムをより柔軟かつ迅速に開発できる点が特徴です。

アジャイル開発についての詳細な解説は以下をご覧ください。

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アジャイル開発のメリット

アジャイル開発は、次のようなメリットをSIerにもたらします。

迅速な価値提供: アジャイル開発は反復的に短い期間(スプリント)で成果物を提供するため、顧客に早期に価値を届けることができます。これにより、顧客との信頼関係が構築され、満足度が向上します。

柔軟な変更対応: システム開発では市場の変化や顧客のニーズの変化により仕様変更が発生するケースはよくあります。アジャイル開発では、短い開発サイクルの中で、顧客からのフィードバックを迅速に反映し、製品を改善していくことができるため、変化への対応がスムーズで、ビジネス環境の変化にも迅速に反応できます。

リスク管理の強化: 小さなスプリントで開発を進めることで、早期に問題を発見でき、修正も迅速に行えます。これにより、大規模なリスクを未然に防ぐことが可能となります。

IT人材の効率的活用: アジャイル開発では、タスクが細分化され、チームで役割分担が明確になります。これにより、限られたリソースでも高い生産性を維持することができます。

このようにアジャイル開発は、限られたITリソースを最大限に活用し、スピードと柔軟性を兼ね備えた開発を可能にします。特に、IT人材不足に悩むSIerにとって、アジャイル開発へのシフトは不可欠です。

しかし、アジャイル開発へシフトしたのち、その特性を最大限に引き出すためには、従来の開発手法から脱却し、新たなツールや手法を取り入れることが必要となります。

そこで注目されているのが、ローコード開発ツールです。

ローコード開発ツールとは

ローコード開発ツールとは、最小限のコーディングでシステムを開発できるソフトウェアです。

システム開発を効率化するために、さまざまな特徴を備えています。

ローコード開発ツールの特徴

まず、一番の特徴は、開発のスピードとコストを大幅に削減できる点です。

ツールにあらかじめ用意されている様々な部品を組合せることで、開発ツールが自動でシステムに必要なソースコードを生成するため、自力でコーディングする部分が少なくなります。その結果、開発期間・コストも抑えることができます。限られた予算や時間で開発を行いたい場合に非常に効果的です。

また、開発に必要な専門知識が少ない人でも扱いやすい点も特徴といえます。

従来の開発手法ではプログラミングスキルが不可欠でしたが、ローコード開発では比較的少ないスキルで開発が可能となり、開発チームの負担を軽減できます。これにより、開発人員の確保が容易になり、IT人材不足に悩むSIerにとって大きなメリットとなります。

ローコード開発ツールがもたらすアジャイル開発への効果

ローコード開発は開発「手法」であり、アジャイル開発は開発「プロセス」であるため、両者は異なる概念ですが、ローコード開発ツールを用いることでアジャイル開発のメリットを最大限に引き出すことが可能です。

ローコード開発ツールがアジャイル開発にもたらす効果を詳しく解説します。

まず、開発サイクルの加速があげられます。

ローコード開発ツールを用いた開発では、ソースコードの記述を最小限に抑えられるため、開発にかかる時間を大幅に短縮できます。また、豊富なテンプレートや部品を活用することで、複雑なシステムでも迅速に開発を進めることが可能です。これにより、アジャイル開発の特徴である反復的な開発サイクルをさらに加速させ、より短い期間で動作可能なシステムをリリースすることができます。

次に、顧客要望の迅速な反映が可能となります。

ローコード開発ツールを用いた開発ではプロトタイプの作成を迅速に行うことができるため、早い段階で顧客からのフィードバックを得ることができます。また仕様変更や機能追加も容易に行えるため、顧客からのフィードバックを素早く反映し、従来と比較して、より顧客ニーズに沿ったシステムを開発することができます。

 

このように、ローコード開発ツールはアジャイル開発のメリットを最大限に引き出すことができます。

ローコード開発ツールは多数存在し、それぞれに異なる特性や特徴があります。その中でも本記事では、GeneXusに焦点を当てて紹介します。

ローコード開発ツール「GeneXus」

GeneXusとは

GeneXusとは、アプリケーションを作り出すアプリケーション(ローコード開発ツール)です。高いシステムの生産性・保守性を実現させるために、GeneXusS.A社によって開発されました。

データモデル定義や、シンプルな記述に基づき、データベースと業務プログラムを自動生成します。GeneXusを活用することでシンプルな記述で高い生産性、品質を維持した開発が可能です。

GeneXusは、単なるローコードツールにとどまらず、アジャイル開発を加速させるために多くの機能(特徴)を備えたプラットフォームです。

GeneXusの特徴

GeneXusがアジャイル開発に適しているといえる理由は、GeneXusが持つ特徴にあります。GeneXusの特徴をご紹介します。

  1. ソースコード自動生成

GeneXusは、ローコード開発のメリットを活かした開発ツールです。画面テンプレートや、標準機能を構成する部品などが豊富に用意されています。また、GeneXusは指定された開発言語でのプログラム生成に加え、定義情報に合わせたテーブルをデータベースに自動生成します。開発者がJavaなどの複雑な開発言語やSQLを覚える必要はありません。

  1. 短期間で技術習得が可能

GeneXusは従来のプログラム言語に比べ、短期間で技術習得することができます。弊社実施のGeneXus基礎講習では、GeneXusの仕組みから基本的な機能の使い方までを3日間で習得できます。 システム開発未経験者の方でも、短期間でGeneXusの使い方を学習することができます。

  1. マルチプラットフォームに対応

GeneXusは一つの資産でモバイルやスマートデバイス用のネイティブアプリケーション、Webアプリケーションを生成できます。また、GeneXusのジェネレータを切り替えることで異なる言語のアプリケーションを生成可能です。さらに複数のデータベースに対応しており、開発者は1つのモデルでマルチプラットフォームに対応したシステムを開発できます。

特に以下の特徴は、GeneXusがアジャイル開発に適している理由といえます。

  1. 素早いプロトタイプ開発

システム構築工程の早い段階でプロトタイプを用いてシステムの機能を確認することができます。さらに、高い生産性、保守性を活かしながら、修正とデリバリーを短いサイクルで行い、利用者へ価値を提供し続けることができることから、アジャイル型開発に適しているツールといえます。

  1. 柔軟な対応力

顧客のフィードバックを基にシステムをより柔軟かつ迅速に開発するアジャイル開発において柔軟な対応力が不可欠となります。GeneXusはローコード開発ツールでありながら、業務記述の定義によって複雑な機能を実現できる柔軟性を持ったツールです。シンプルな機能はほぼノーコードで、複雑な機能はコードの記述によって実現する対応力を持っています。

このように、GeneXusは。アジャイル開発の特徴である反復性と柔軟性を最大限に引き出し、迅速かつ高品質なシステム開発と長期的な保守運用を可能にします。

GeneXusは現在に至るまで日本国内でも多くの企業に導入されており、高い信頼性と豊富な実績を誇ります。

弊社のGeneXus導入事例をご紹介します。

GeneXusを活用した成功事例

事例①レガシーシステムをモダナイゼーション

GeneXusでレガシーシステムをモダナイゼーション A社様

A社は、SIerとしてエンドユーザーのシステムの受託開発や保守管理を行っています。メインフレームで開発したリース業のエンドユーザ様の基幹業務システムの刷新をGeneXusで行いました。

当初はスクラッチ開発でのモダナイゼーションが検討されたのですが、スクラッチ開発ではメインフレームのサポート切れまでの限られた期間での刷新が難しく、期間短縮のためローコード開発が検討されました。 複数のローコード開発ツールを検討する中でツールの評価段階で既存システムの機能を弊社と共同でプロトタイプ開発し、機能の実現性や生産性の高さからGeneXusが選択されました。

GeneXusの導入効果とポイント:

  • GeneXusを活用し、メインフレームの560を超える機能を短期間で移行することに成功。
  • 上流工程でプロトタイピングを用いて、開発工程の手戻りを大幅に削減。
  • COBOLからC#への移行により、最新の外部サービスとの連携が可能となり、システムの付加価値が向上。
  • 稼働後の障害も少なく、システムは安定稼働。

お客様自身、共同開発の期間内で問題なく技術習得ができ、現在はお客様のみで保守メンテナンスを実施されています。

本事例のように、ローコード開発は部署や個人レベルで利用するアプリケーションだけでなく企業の基幹業務を担うエンタープライズシステムの開発にも適用することができます。

事例②ユーザーニーズへ対応すべくスキルチェンジ

GeneXusでユーザーニーズへ対応すべくスキルチェンジ B社様

つづいてB社はユーザーニーズに応えるべくGeneXusでスキルチェンジを実施した事例となります。

B社では既存顧客のDX推進に伴い、タブレットやスマートフォンといったスマートデバイスの活用が増加。Webシステム構築の需要が増すとともに、継続的なシステム改修にスピード感を求められるようになりました。

社内で技術者を育成しようにも自社にノウハウが少なく、育成に期間やコストがかかることが課題となり自社開発スキルや開発モデルの変革のためGeneXusを採用いただきました。

GeneXusの導入効果とポイント:

●WEBシステム技術者誕生
 1からWEBシステム構築できる技術者が2名誕生

●お客様ニーズに迅速対応
 ・アジャイル型開発手法により従来のウォーターフォール型開発では実現できなかったスピード感を実現
 ・パソコンだけでなくスマートデバイスでも利用可能なマルチプラットフォームなシステム構築が可能に
 ・ローコードツールの利点を活かし非機能要件や共通部品にかかる開発工数を大幅に削減
 ・従来型開発手法での見積と比較して、約2倍の生産性でシステム開発を実施
 ・稼働後の障害が少なく、従来の開発プロジェクトと比較しても高品質

新しい技術の導入や開発モデルの変革はハードルが高いと考えられがちですが、このようにローコード開発ツールを活用することで、新たな事業展開を進めることができます。

まとめ

日本のSIerは、深刻なIT人材不足という、変革の波に直面しています。従来のウォーターフォール型開発モデルでは、この課題に対応しきれず、企業の成長と競争力維持が困難になりつつあります。

そこで注目されるのが、アジャイル開発と、そのメリットを最大限引き出すローコード開発ツールです。

GeneXusは、ソースコードとデータベースの自動生成により、開発期間を大幅に短縮するローコード開発ツールです。変化に柔軟に対応できるシステム開発を実現し、アジャイル開発に適しているツールです。

また、本記事で紹介した事例からもわかるように、GeneXusはレガシーシステムのモダナイゼーションや、ユーザーニーズへの迅速な対応、そして社内のスキルチェンジを成功に導きます。

アジャイル開発とGeneXusを組み合わせることで、SIerはIT人材不足を克服し、顧客に迅速かつ高品質なシステムを提供することが可能です。

GeneXusでアジャイル開発を加速し、IT人材不足の問題を解決しましょう!

弊社では、2004年からGeneXusを使用しており、長年のGeneXus開発ノウハウを活かして、GeneXus技術習得のための講習やGeneXusの無料説明会を開催しています。

「GeneXusについてもっと詳しく知りたい」「自社での導入を検討したい」「実際にGeneXusを体験してみたい」という方は、ぜひウイングまでお気軽にお問い合わせください。

ウイングは、GeneXusの導入から教育、開発、運用まで、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提供いたします。


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