DX推進や業務効率化、生産性向上のためにERPパッケージの導入を考えている企業も多いでしょう。ERPパッケージを導入することで、組織内の主要業務を統合管理でき、事業全体の最適化が期待できます。しかし、ERPパッケージは高価なものが多く、自社に合ったものを選ばなくては、費用対効果が釣り合わないこともあるのです。
この記事では、ERPパッケージの概要やメリット・デメリット、導入時に検討すべきポイントについて解説いたします。
ERPパッケージとは？
まず、ERP（Enterprise Resources Planning：企業資源計画）とは、組織内の経営資源を統合的に管理するシステムのことです。生産管理システムであるMRPを事業全体に拡張したものと考えて良いでしょう。
ERPパッケージは、各業務を効率化するためのソフトウェアがパッケージ化されたもので、一般的に以下のような機能が含まれています。
- 販売管理： 受注処理・注文管理・価格設定・出荷管理など
- 在庫管理： 入出庫管理・返品管理・在庫調整・需要予測など
- 生産管理： 生産計画・工程管理・資材在庫管理・品質管理など
- 会計管理： 財務分析・予算管理・帳票作成など
- 人事給与管理： 従業員情報管理・給与計算・勤怠管理・労務管理など
ERPパッケージの種類
ERPパッケージには、業種や組織のニーズに合わせたさまざまな種類があります。ERPパッケージの種類は3つにわけられます。
1. 統合型パッケージ
経営に必要なすべての業務をカバーしており、大規模な企業やグローバル展開を行っている企業のほとんどが導入しています。SAPやOracleなどが有名です。全ての業務を統合的に管理できるため、経営陣が事業の状態をリアルタイムで把握できるメリットがあります。
機能面が優れている分、導入費用も高額になるため、中小企業が導入するにはハードルが高いのがデメリットです。
2. コンポーネント型パッケージ
特定の業務に特化したERPです。会計管理システムや生産管理システムなど、業務部門や単位ごとに導入することで、業務効率の向上が図れます。
必要なシステムを必要なタイミングで追加・拡張できるので、コストを抑え、短期間で導入できるメリットがあります。一方で、コンポーネントを追加していくうちに、機能が重複してしまったり、ランニングコストが増加してしまうといったデメリットもあるため、注意が必要です。
3. 業務システム型ERP
会計システムや在庫管理システムなど、特定の業務・部門ごとに導入できるERPです。コンポーネント型よりも、さらに安価に導入できますが、統合管理機能は劣ります。
ERPパッケージ導入のメリット・デメリット
ERPパッケージを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 業務効率化： 組織内の業務プロセスを統合し、効率化することで生産性を向上させます。
- 情報可視性： リアルタイムな情報共有と可視性により、意思決定の迅速化と正確性を実現します。
- 業務連携： 部門間の情報共有やコミュニケーションの改善により、業務連携が促進されます。
- リスク低減： データの一元管理とセキュリティ対策により、リスクを低減します。
一方で、ERPパッケージ導入時には以下のようなデメリットや問題点も意識しておかなくてはなりません。
- 導入コスト： 統合型ERPパッケージ導入には高額な費用がかかります。コスト感と事業規模、予算などを踏まえて検討する必要があるでしょう。
- 既存業務プロセスとの適合性： ERP導入は、既存の業務プロセスを刷新する良い機会ですが、その分従業員に負担がかかる可能性もあります。ベンダーのサポート体制をチェックしておきましょう。
ERPパッケージ導入時に検討すべきポイント
適切なERPパッケージを選ぶためには、以下のポイントを考慮し、検討する必要があります。
- 事業との適合性：業務フローやソフトウェアの種類などが事業とマッチしているか。自社の課題を解決できるか。
- 導入コストと保守費用：導入コストは適切か。保守費用を含めた費用対効果を考える。
- ベンダーの実績・信頼性： ERPパッケージを提供するベンダーが事業内容を理解しているか。導入実績があるのか。
- セキュリティ：サイバー攻撃に対する対応は万全か。暗号化やエンドポイント保護などの対策があるか。
「ERP導入に失敗しないための5つのポイント」については、下記記事も参考にしてください。
まとめ
ERPパッケージの導入は、組織内の業務プロセスを効率化し、情報の一元管理と可視性を向上させる重要な一歩です。
コンポーネント型から導入することで、徐々に業務フローを見直すか、統合型で一気に刷新するか…予算やニーズに合わせ、適切なERPパッケージを選択し、導入計画を立てることで、課題解決や業務効率化を促進できるでしょう。
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