近年、DX推進によって業務効率化や新たなビジネスチャンスを得られる一方、サイバー攻撃などのセキュリティリスクも増加しています。
この記事では、DX推進に伴う具体的なセキュリティリスクと、それらへの対策方法について解説いたします。
サイバー攻撃の最新動向
トレンドマイクロの国内組織のサイバー攻撃被害状況調査によると、2023年から過去3年間でサイバー攻撃を経験した国内組織は56.8%に上り、被害額は平均1億2528万円にも及ぶそうです。
サイバー攻撃を受けると、企業の経営に大きな影響を与えるだけでなく、顧客情報の流出や法令違反など、様々なリスクを引き起こす可能性があります。
また、近年のサイバー攻撃はますます高度化しており、以下のような傾向が見られます
- 攻撃手法の高度化:AIやIoT技術などを悪用した攻撃が増加
- 標的型攻撃の増加:特定の企業や組織を標的とした攻撃が増加
- 国家によるサイバー攻撃:国家間の諜報活動や政治的な目的
- ランサムウェアの被害拡大:被害金額の増加、標的の多様化
- サプライチェーン攻撃の増加:取引先を踏み台にした攻撃
サイバー攻撃の種類と概要
サイバー攻撃には様々な種類が存在し、対策方法も様々です。代表的なサイバー攻撃を詳しく見ていきましょう。
サプライチェーン攻撃
企業の取引先であるサプライヤーやパートナーを標的としたサイバー攻撃です。サプライヤーのシステムを踏み台にして企業に侵入したり、サプライヤーのソフトウェアにマルウェアを仕込み、企業に配布したりします。
被害例
- 2021年、SolarWinds社のOrionソフトウェアに悪意のあるコードが仕込まれ、世界中の企業や政府機関が被害を受けました。
- 2021年、米国のソフトウェア会社 Kaseya がランサムウェア攻撃を受け、顧客企業1,500社以上に被害が出ました。
対策方法
- サプライヤーのセキュリティレベルを評価する
- サプライヤーとの契約においてセキュリティに関する条項を盛り込む
- サプライヤーからのソフトウェア配布前にセキュリティチェックを行う
- ネットワークを分割し、サプライヤーからのアクセスを制限する
ランサムウェア
システムやデータを暗号化し、金銭を要求する攻撃です。近年、被害が拡大しており、企業にとって大きな脅威となっています。
被害例
- 2021年、アメリカのColonial Pipeline社がランサムウェア攻撃を受け、パイプラインの操業停止に追い込まれました。
- 2022年、日本のJTBがランサムウェア攻撃を受け、顧客情報約93万件が流出しました。
対策方法
- データのバックアップを取る
- セキュリティソフトを導入する
- 社員教育を行う
- インシデント対応計画を策定する
ゼロデイ攻撃
まだ脆弱性が公開されていないソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃です。攻撃者は、脆弱性を発見し、それを悪用するプログラムを開発します。
被害例
- 2017年、WannaCryと呼ばれるWindowsの脆弱性を悪用したランサムウェアが世界中に拡散し、20万台以上のコンピュータが感染しました。
- 2021年、Microsoft Exchange Serverの脆弱性を悪用した攻撃が世界中で発生しました。
対策方法
- ソフトウェアを常に最新の状態に保つ
- セキュリティパッチを迅速に適用する
- 仮想化技術を用いる
- サンドボックス環境を構築する
ソーシャルエンジニアリング
巧妙な手口でターゲットの人心を操作し、個人情報やパスワードなどの機密情報を聞き出す手法です。フィッシング詐欺や電話詐欺など様々な形態があります。
被害例
- 2023年、日本の大手企業の社員が、偽の役員を装った電話詐欺に遭い、約3億円を騙し取られました。
対策方法
- 社員教育を行う
- フィッシング詐欺対策ソフトを導入する
- パスワード管理を徹底する
- 多要素認証を導入する
不正アクセス
アカウント情報の流出やパスワードの推測などによって、不正な第三者がシステムやネットワークに侵入することです。
被害例
- 2023年、日本の大手企業のWebサイトが不正アクセスを受け、顧客情報約400万件が流出しました。
- 2023年、パスワード管理サービスが不正アクセスを受け、約700万件のユーザー情報が流出しました。
対策方法
- パスワードを複雑にする
- 二段階認証を導入する
- アクセス制御を徹底する
- ログの監視を行う
まとめ
サイバー攻撃は、企業や個人にとって大きな脅威です。
これらの攻撃は単独で実行されるだけでなく、複数の攻撃を組み合わせて行われることもあります。
DX推進に伴い、企業は様々なセキュリティリスクと問題に直面します。これらのリスクを理解し、適切な対策を事前に確認しておくことで、安全なDX推進を実現しましょう。
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