製造業では、高品質な製品を安定して供給することが求められますが、職人の技術力に頼っている企業も多いのではないでしょうか。少子高齢化が進み人材不足が叫ばれる中、そうした状況をDXにより解消する必要性はますます高まっています。
では、まずは現場のデジタル化から始めるのが良いでしょうか。実は成功するDXにはその前にやるべきことがありました。
製造業DXとは
DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、企業がデータとデジタル技術を活用して、業務や、組織、プロセス、企業文化などを変革し、競争上の優位性を確立する取り組みを意味します。
つまり、製造業DXとはデジタル技術を駆使して業務効率化や生産性・品質の向上を実現することを指します。
製造業でDX推進が必要な理由
製造業でDX推進が必要な理由は2つあります。
社会的な理由は次の通りです。
- 少子高齢化
- 競争力の強化
DX推進をして、生産性をあげていく必要があります。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
少子高齢化による人材不足の解消
1つ目の理由は、少子高齢化による人材不足への対策です。内閣府が発表している「令和4年版 少子化社会対策白書」によると、総人口の0~14歳の割合は、1970年は24.0%だったのに対して、2021年では11.8%まで減少しています。
少子高齢化は2060年以降も続く予定であるため、人材不足の状態でも生産性をあげていく必要があります。
生産性向上・技術向上による競争力の強化
2つ目の理由は、生産性向上と技術向上によって、競争力を強化していくためです。
情報の広がりが早く、競争力が激しいのが今の社会。今、経営状況が良かったとしても、競合他社の参入や、社会状況が変わることによってニーズが変化し、このままの経営状況が続くとは考えにくいでしょう。
常に、改善が求められているといえます。そのために、生産性向上や技術向上が必要です。DX推進をすることで、業務効率化が上がり、今までの業務を短時間で終えることができます。その時間を別の分野に力を注げるようになります
DX推進は単なるデジタル化ではない
DX推進は単にこれまでの業務をデジタル化すれば良いと思っている人も多いのではないでしょうか。DX推進は単純にデジタル化するということではありません。
DX推進をしていくために、注意すべきポイントを2つ解説します。
製造現場だけではない企業活動そのものの変革が必要
製造業でDX推進をするなら、製造現場だけデジタル化をするだけでは不十分です。
現場だけを変革していくのでなく、企業活動として変革していくことが必要です。
企業活動の変革とは、仕事の一部分を見るのでなく、仕事の流れや関係者など全体を俯瞰して見て、ボトルネックとなっている箇所を根本から見直していくことです。
古くから続いている業務であれば、やり方が昔のまま続いており、非効率な事が多いかもしれません。業務を深く広く見直すことが必要でしょう。
全社的に取り組むべき大きなテーマ
DX推進をしていくには、1つの部署やプロジェクトで進めることはできません。
全社的に取り組んでいく必要があります。
例えば、営業だけがDX推進をして、効率化を進めたとしても、関連部署がDX推進していなければ、有効活用できません。関連部署がボトルネックとなってしまい、社内の業務全体を見たときには、効果は一部分にとどまってしまいます。
全社的に業務効率化を図るためには、会社全体でベクトルを合わせて進めていく必要があります。
製造業のDXを始める前に
製造業のDXを推進していくのに、すぐに実行してしまうのは危険です。
DX推進を成功させるためにやるべきことを順に3つ解説していきます。
企業活動の洗い出しとDX推進のスケジュール策定
まずは、会社全体で行っている企業活動の洗い出しを行いましょう。
複数の事業を行っている会社であれば、事業を全て洗い出すことが大切です。
ポイントとしては、影響範囲を社内だけでなく、社外にも目を向けて可能な限りたくさん出すことです。
活動が洗い出せたら、DX推進のスケジュールを策定します。
この時点は大まかなスケジュールで良いでしょう。計画が詳細化されたら、再度スケジュールを見直すくらいの感覚とするのがおすすめです。
チーム編成とやるべきこと・ゴールの明確化
DX推進のチーム編成をしましょう。
具体的には、企画、全体調整、エンジニア、UX、アーキテクトなどの役割をもったチームです。
必要なチーム代表が集まり、ゴールを明確にしていきます。
DX推進は影響範囲が広くなり、各部門や各チームの関連が出てきます。ゴールを明確にして目指すべき達成目標を明確にしていくことが大切です。
ゴールが明確になっていることで、各チームが自発的にゴールに向かって進めることや、判断に迷った時の指針になるため、ゴールを設定していきましょう。
社内の意識を統一する
ゴールが決まったら、社内の意識を統一していきます
意識を統一するために効果的なのは、会社として、DXを進めていくことを打ち出すことです。
DXの意識は一朝一夕では広まりません。
DX推進の早い段階から、社員全体に意識を浸透させていくことが、成功の鍵を握ります。
DX推進のためのリーダーの心構え
DX推進は、部署をまたいで活動していく必要があるため、リーダーの心構えで成功率が大きくかわります。
リーダーの心構えとして特に重要なことを2つお伝えします。
DX推進成功のビジョンを描く
リーダーとして大切なことは、DX推進成功のビジョンを描くことです。ビジョンが明確であれば、どこに向かおうとすべきかわかりますし、現在地もどこなのかがわかります。
DX推進成功のビジョンというのは、「どう在りたいか」です。DX化が完了した時に、どうなっているか。それまでの過程や中間地点はどうなっているか。ポイントをおさえてビジョンを描けるとメンバーが迷わず進んでいけます。
全社員を巻き込む
全社員を巻き込むことも、DX推進成功の鍵を握っています。
一部の部署だけで、DX推進をしていっても影響範囲に限界がきます。むしろDXは他部署や他社とのやりとりなど、広く活用することで、効果が最大化する場面が多いです。
全社員を巻き込み、社員が主体的に推進を後押しするような環境にしていくことが大切です。
DX推進に迷ったら
DX推進をしていくと、「このまま進めていって大丈夫なのだろうか」「この計画は達成できるのだろうか」と不安になったり、迷ったりすることがあります。
その場合は、社内のリソースだけで解決しようとしないことが大切です。
外部の知見に頼る
時には、外部の知見に頼りましょう。
もちろん、社内の人が責任をもって進めていくことが一番重要ですが、外部の知見に頼ることで、DX推進を加速できます。
外部の人であるからこそ、客観的に自社の状況を見て、率直な意見をもらえます。
また、これまでに色んな企業・組織のことを見ているからこそ、知見が豊富です。
外部の人の意見を聞いたら、驚くほどスムーズに解決してしまったということは、良くあることです。
信頼できるコンサルとは
外部に頼る場合も、信頼できるコンサルを選びたいですよね。
コンサルに協力をお願いする際、見るべきポイントは次のような点です。
- デジタル技術と、企業経営の両方の知識・スキルが豊富である
- 会社の状況をしっかりヒアリングしてくれて、状況に応じた対応ができる
- ヒアリングをしつつも、外部として客観的な意見を言える
このようなコンサルを見つけたら、ぜひ相談してみてください。
まとめ
今回の記事では、製造業でDXを始めるためにやるべきことをお伝えしました。少子高齢化で人材不足が進んでいくため、DXにより業務効率をあげていく必要性は高まっています。
DX推進を成功させていくには、現状の企業活動の分析、DXチームの編成、明確なゴール・ビジョンの設定が大切です。
DX変革は、大きなテーマとなるので、自社だけで心配な場合は、第3者のコンサルにも相談し、DX推進を進めてみてはいかがでしょうか。
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